なるへそ新聞は、新聞という紙の媒体の特性を活用して、
都市の変遷や社会の有り様を紙面上で再現していくアートプロジェクトです。
この切り貼りで造られる手書きの新聞は、街に生きる人たちの記憶を取材し
色んな時代に散らばった昔の様々な思い出や体験を、あえて新聞の現在進行形の出来事として報道します。
街が毎年全く新しくはならず、個々の思惑で一つ家が取り壊されては何か新しい建物が建てられて
徐々にその町並みを変えていくように、いくつかの記事が切り取られて空き地を作り、そこに新しい記事がはいって
少しずつ更新されていく、街や場所や人の変遷そのものを紙面で体現する新聞です。
訪れる街で新聞社を立ち上げ、記者を募り、その街に住む身近な人たちを取材して
次々に号を重ねて発行し続けていきます。
プロジェクトを通して、取材される側は「思い出してお話しを作る」
取材する記者は「話しを聞いて記事という形を作る」
それはすべて創作的な行為と私は考えています。
街には様々な場所と人と時間が混在しています。
それぞれの人の中には生きてきた場所毎に続く過去の時間があり
私たちはそれらの記憶と共に現在を生きています。
それこそ手作りの切り貼りの記憶の記事のように街は拡がっているのです。
なるへそ新聞社 大愛知なるへそ新聞社・編集長:山田 亘
あいちトリエンナーレ2016国際展の出品作品として、トリエンナーレの期間中、同芸術祭の栄会場・中央広小路ビル2Fにある山田亘展示会場「大愛知なるへそ新聞社」編集部で水曜日・日曜日に編集日を設けて、一般からの参加希望者と共に思い出を取材して紙面に記憶の街をつくり、毎週のように更新し続けていきます。 わら半紙に手書きの記事を刷る新聞を発行することと平行して、新聞社内には新聞社の文化事業として「なるへそ文化センター」も設立し、のギャラリーTIMES GALLERYを展開、展示内展示として新聞社の企画展を催したり、文化教室なども開催されました。
「大愛知なるへそ新聞」は愛知という大きなエリアを舞台に、街の変遷のありさまと都市の有り様を紙面上で、記者・読者として体感していくための参加型の新聞ワークショッププロジェクトです。参加者は当新聞の記者となり、街の記憶の取材を行います。入り組んで複雑であり、時に思うようにならない新聞紙面を都市や町並みと見立て、建物としての古い記事の取り壊しと新しい記事の再建設を繰り返す土地の変遷のシュミレーションを紙面上で行うというもの。大きな街である紙面には特殊な街区や内外からの様々な人々の記憶が住まい、日々その姿は変わり続けていく。
「西成なるへそ新聞」は2013年大阪西成区Breaker Projectとの共同プロジェクトとして3月から12月までの10ヶ月に渡り行われました。一般から参加した記者や地元の連載陣と共に約3週に1度2号ずつ作成し、町中新聞ボックスなどを使って配布されました。合計25号とお風呂屋取材記事を集めた特別号2.6(ふ・ろ)と題された手ぬぐい新聞を含めた計26号が発行され、翌年2014年2月には大阪府立江之子島文化芸術創造センター/enocoにおいて成果記録展示も行なっています。
「ベルリンなるへそ世界新聞」は、都市の変遷のシュミレーションとしての新聞プロジェクトである。 元々はクリエイティブデザインシティNagoya2009のために「名古屋なるへそ新聞」としてデザインされたワークショップをベルリン/国際バージョンとして作り直したもの。 2011年ベルリンで開催されたDMY国際デザインフェスティバルの会場内で街が徐々に変化していくようにワークショプ参加者と一緒に期間中終わることなく少しずつ紙面を変化させていき、最終日までにどのような「新聞=街」になっていくのかを見届けていく。
「名古屋なるへそ新聞」は都市の変遷のありさまと都市デザインの実際を体感するためのワークショッププロジェクト。新聞紙面を都市と見立て、実際の市民に対する「昔住んでいた家の記憶」についての取材に基づいた記事を持って紙面のre-designを繰り返す都市変遷のシュミレーションを行うというもの。
ユネスコ・クリエイティブ・シティズ認定都市である名古屋において、クリエイティブ・デザインシティなごや推進事業実行委員会主催で行われたCreative Design City Nagoya2009 未来スコープのために、若手デザイナーワークショップディレクターとしてプロジェクトを運営した。